桜の木

2024年07月06日

*原稿の内容は、和光保育園の許可を受け掲載しています。内容の複製や転載はお断り致します。また内容に関し、保育園へのお問い合わせはご遠慮ください。和光保育園のホームページにも、詳しい記事や写真が掲載されています。そちらもご覧くださればと思います。

 

應善寺に隣接している和光保育園に、桜の木があります。国立には桜の名所と言われる場所がいくつかあるかと思いますが、凛とした見事な一本桜でした。道行く地域の方々も楽しんでくださったかも知れません。ちなみに應善寺にも枝垂れ桜の木がありました。老木のため安全面を重視し、10年程前に伐採致しました。実はホームページの写真は、10年程前の景観になります。

應善寺は昭和初頭、関東大震災により、築地からこの国立の地に寺基を移転しました。昭和29年4月、地域の社会福祉に答えるべく、和光保育園を創立いたしました。先代坊守・初代和光保育園園長で私の祖母である松岡きくが、移転当時のことを『ちまたにはひかりあふれて』という自著に
「旭通りに入ると家はまったくなく、松林、くぬぎ林など雑木林が果てしなく続き、山でも分け入ったような感じでした」
昭和60年頃には、
「いま私のおります應善寺を建立する時、周りに植えました桜や柿の若木がたくましく根を張って見上げるほどになっている」

と書き残し懐かしんでおります。1世紀を経た老木のため安全面を重視し、本年4月末に保育園の桜の木は伐採されました。園児と保育士の方々が「お別れの会」をされたそうです。それは園児を見守り続けた桜への感謝の世界でもあります。

生きとし生けるものは病にかかり、老いを迎え、いのちの最後を必ず迎えなければなりません。それは人間であろうと、動物であろうと、植物であろうと皆同じであります。桜を通して、老病死といういのちの本当の姿・いのちの平等の姿を、桜を通して私自身教えられました。

秋には、園庭に新たな桜を植樹するそうです。長い時間をかけ園児や保育士と共に育っていくのでしょう。ちなみに、應善寺の境内にも、また枝垂れ桜を同時期に植樹出来ればと思っています。ご門徒の皆様とやはり「共に育ち合う」のでしょう。分け隔てのないいのちが「共に育ち合う」、それこそが浄土真宗の「み教え」を根底に持つ世界だと思います。